性感染症
広がりを見せる性感染症は
早期発見・早期治療が大切
セックス、オーラルセックス、アナルセックスなどの性行為によって感染する病気です。現在、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス感染症、エイズ等多くの疾患があります。
ひと昔前までは、性病・性感染症は一般の人には関係のない病気というイメージがありましたが、今日ではごく普通のカップルの間や中高年層でも広がりを見せています。
性感染症は無症状のまま経過することも多く、不妊の原因になったり、出産時に子どもに感染したりする可能性もあります。早期発見・早期治療が重要ですので、不安を感じたらすぐに専門医への受診をおすすめします。また、カップルの場合はピンポン感染を起こすことがありますので、パートナーの検査も必要です。
尿道炎
尿道に菌が感染し、排尿時の痛みや尿道からの排膿を認めます。代表的なものに性感染症である淋菌性尿道炎とクラミジア性尿道炎があります。
診断方法
尿検査を行い、尿中に淋菌やクラミジアがいるかを調べます。検査結果が出るまでには1週間かかりますが、症状から診断し治療を行います。淋菌とクラミジアの両方に感染している場合や、薬剤が無効な場合もあります
- 淋菌性尿道炎
感染してから3〜7日程度で症状が出ます。排尿時の痛みや尿道から膿(白〜黄色)が出ます。 - クラミジア性尿道炎
感染してから7〜14日程度で症状が出ます。尿道痛や尿道から透明な分泌物を認めます。
どちらも抗菌薬の内服や点滴で治療します。これらはともに性感染症であり、性行為やオーラルセックスで感染します。
性器ヘルペス
一度体内に感染すると、潜伏して再発を繰り返すことがあります。
感染後5〜10日前後で感染した皮膚に痒みをともなう水疱ができ、水疱が破れると潰瘍となる場合があります。
抗ウイルス薬の内服での治療が基本ですが、軟膏もあります。再発に対しては予防的に抗ウイルス薬を継続することが有用とされています。
性器カンジダ症
カビの一種であるカンジダによる病気です。
男性は無症状のことが多く、痒み等の症状があれば治療を行います。女性は強い痒みや白いおりものを認め、抗真菌薬の膣内投与や軟膏で治療します。
尖圭コンジローマ
感染から3週間〜数ヶ月かけて性器や肛門周辺にカリフラワー状のイボができます。
凍結療法や電気焼却、レーザー焼却で切除しますが、クリームを塗って治療することもできます。
梅毒
トレポネーマという病原菌が皮膚や粘膜の小さな傷から侵入し、血液中に入って全身に広がります。アナルセックスでの感染が特に多いと言われています。早期に治療すると完治しますが、進行するとさまざまな症状が起こり、重大な後遺症を残すこともあります。
症状
感染から3週間程度で感染したところに痛みのないしこりができます。その後太ももの付け根のリンパ節も腫れてきます。どちらも放置すると小さくなりますが、感染後3ヶ月〜3年で「バラ疹」という茶褐色のアザが全身にできます。
3年以上経つと皮膚の下に「ゴム腫」といわれるしこりができ、さらに進行すると心臓や血管、神経に重い症状が出ますが、最近は見られません。治療は抗菌薬の内服ですが、進行の程度に応じた治療が必要です。