診療案内

膀胱・尿道の病気


過活動膀胱

過活動膀胱とは、「急に我慢できないほどの尿意をもよおす」「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができずもれてしまうことがある」といった症状を示す病気です。40歳以上の男女の8人に1人が過活動膀胱の症状を持っていると言われています。


診断方法

「過活動膀胱症状スコア」というアンケート形式の質問紙を用いて、重症度を調べます。尿検査や腹部超音波検査を行うこともあります。

治療方法

薬物療法が一般的です。
以前は抗コリン薬が治療の中心となっていましたが、口渇や便秘等の副作用がありました。最近では副作用の少ないβ3受容体刺激薬や抗コリン薬の貼付剤も発売されており、治療の選択肢が広がっています。


膀胱炎

「何度もトイレに行きたくなる」「排尿後に痛みがある」「残量感がある」「尿が白濁し、血が混ざることもある」といった症状で膀胱炎と診断された方も多いと思います。女性は男性より尿道が短いため、細菌が尿道から膀胱に侵入しやすく、炎症を起こしやすい傾向があります。

基本的に、排尿することで細菌は洗い流されますが、尿を長時間我慢したり、疲労やストレスで免疫力が低下していたり、性交渉のあと不潔な状態のまま寝たりすることで、細菌は膀胱の中で増殖します。重症例では出血することもあります。


診断方法

尿検査で尿の濁りや出血の有無を調べます。また、原因となる細菌を調べる検査を行います。

治療方法

抗菌薬での治療が基本ですが、軽度の場合は水分摂取で尿をしっかり出すことで治癒する場合もあります。膀胱炎を繰り返す場合や薬が効かない場合は、専門医への受診をおすすめします。


尿路結石

腎臓から尿道までの尿路に結石ができる病気です。患者数も増加しており、生活習慣病の一つとされています。
結石がある部位によって診断名が変わりますが、発生機序は同じです。腎臓から尿として排泄された物質が凝集・結晶化して無症状のまま成長します。結石へと成長し、腎盂から尿管に下降することで尿の通過障害を引き起こし、痛みや血尿などの症状が出てきます。


尿路結石ができる部位と名称

尿路結石ができる部位と名称

症状

側腹部や下腹部に急激な痛みをともないます。
結石が尿管にかん頓することで尿の通過障害を引き起こし、腎盂内の圧力が高まることで痛みを発症します。この痛みは男性にとって最も強い痛みとされており、救急車で搬送されるケースも多いです。また、痛みとともに血尿を認める場合もあります。

診断方法

腹部レントゲン検査や腎臓・膀胱の超音波検査、尿検査を行います。レントゲンに写らないような成分の結石や小さな結石の可能性もあるため、CT検査を行うこともあります。

治療方法

発作時にはまず痛みを取るため、鎮痛剤を投与します。結石の大きさや場所により治療法は異なります。尿管結石で5mm程度の大きさであれば自然排石を促します。10mm程度の場合は自然排石する可能性は低く、体外衝撃波治療(ESWL)や尿道から内視鏡を挿入し、結石を砕石する治療を行います。腎臓内の結石の場合は無症状で発見されることが多く、経過観察することもありますが、結石が大きいと腎臓の機能が低下する可能性もあるため、手術で結石を砕石します。

尿路結石の方は、2人に1人は再発すると言われており、結石の成分を参考に再発防止を指導することがすすめられています。


膀胱癌

60歳以降に多く発症し、染料や化学物質を扱う職業や喫煙者は発症率が高いと言われています。


症状

血尿によって発見されるケースがほとんどです。トイレで確認できるぐらいの血尿が出たら要注意。頻尿や残尿感といった膀胱炎症状から診断される場合もあります。

診断方法

尿検査や超音波検査を行います。膀胱癌を強く疑う場合は膀胱内視鏡検査(膀胱鏡検査)を行います。尚、膀胱鏡検査は胃内視鏡検査と同じ軟性鏡を使用しますが、胃の内視鏡よりも細いため、外来で迅速に検査することができます。

治療方法

膀胱に腫瘍がある場合や膀胱粘膜に癌細胞がある場合は手術で切除します。
手術にも内視鏡を用いますが、硬性鏡という金属製の太い内視鏡ですので、入院の上下半身麻酔をして行います。切除した腫瘍を調べて膀胱癌と診断し、膀胱の壁の奥深くまで進行している場合や他の臓器に転移している場合は、追加の治療を行います。
また、膀胱癌は再発が多いため、定期的な受診が必要です。